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第1回(8月/9月号)
「組込みシステム」に関するコラムがスタートします。IT分野の先生、学生の皆さんは「組込みシステム」という言葉は聞いたことがあると思います。
実は私たちの生活の回りには、多くの組込みシステムが活用されています。このコラムでは、組込みシステムの世界を多くの方に広く知っていただくため、事例などもご紹介しながらお話ししていきます。
著者:一般社団法人 組込みシステム技術協会
パソコンを中心とした、いわゆるIT(Information Technology)に対して、組込みシステムは、ET(Embedded Technology)と呼ばれ、『機器に組み込まれ、それを制御するコンピュータシステム』のことを指しています。
組込みシステムの例を挙げますと…
身近なところでは、通信機器(スマートフォン、タブレット端末等)、家電機器(エアコン、電子レンジ等)、AV機器(テレビ、チューナー等)、娯楽機器(ゲーム機等)
移動手段(自動車、飛行機等)、OA機器(プリンタ、複合機等)、医療機器(レントゲン、MR等)、測定機器(電力メータ等)…。 ロボットの制御もそうです。製造業の工業用ロボットだけではなく、介護ロボット等、これから広がる分野です。
非常に幅広いですね! モノづくり大国、日本が得意とする分野、日本のモノづくりの基盤は、「組込みシステム」から成り立っていると言っても過言ではありません。
組込み機器の内部にはCPUが搭載されています。CPUは人間でいう脳みそのようなものです。このCPUが、様々な入力に応じて適切な出力を出せるように処理を行います。
テレビを例にします。
① テレビ本体のスイッチを押します(入力)
② CPUに「スイッチが押された!」と伝達されます
③ CPUは「ディスプレイを起動させろ!」と命令します
④ ディスプレイが起動されます(出力)
⑤ 私たちはテレビを見ることができます
これが非常に簡単な仕組みです。スイッチが押されたら、ディスプレイを起動させろ とCPUに記憶させることが、組込みシステムエンジニアの役割になります。
今、組込みシステムエンジニアが不足しています。
学校群では組込みシステムに特化した学科・専攻が限られていますが、IT系のアプリケーションを履修した学生さんも、プログラミングの基礎と開発言語をしっかりと学べば、就職後に組込みシステム開発に必要な差分教育がありますので、ご安心ください。
また、事業カテゴリとしても裾野が広い分野ですので、教育機関におかれましては、組込みシステムを意識した教育に注力されてみてはいかがでしょうか。
工学系離れが叫ばれる中、『ETロボコン(*1)』は技術系学科を中心として、機械に興味がある学生の動機にもなっています。
*1 ETロボコン
「組込みシステム」部門における技術教育をテーマに、決められた走行体で指定コースを自立走行する競技です。同一の走行体にUML等で分析・設計したソフトウェアを搭載して競います。
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特集2:組込みシステム技術協会(JASA)
特集3:組込み技術者試験制度(ETEC)
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