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これまでソーシャルメディアの有効活用とリスク対策について述べて来ました。
twitterやFacebookなどのソーシャルメディアが普及し、“所属団体名(企業の場合は企業名、学校の場合は学校名等)を明かした状態”で情報発信をするケースが増えてきており、広報活動やマーケティングを行う上でソーシャルメディアは無視できないメディアとなっています。
一方で、炎上事例の回で紹介したようにユーザーの無責任な情報発信によって、所属団体に大きなダメージを与えるケースも少なくありません。 学校においても、学生・教職員がインターネットサイトに不適切な内容を記載したことが原因で、学校に問い合わせ電話がかかってきたり、学校の責任問題に発展し、記者会見や公式ホームページへ謝罪文を掲載するに至るケースが相次ぎ、教職員・学生がインターネットを上手に使う力が問われています。
このような背景からソーシャルメディアを適切に活用し、実りある活動を行うためには、“運用する為のルール”が必要です。一部の企業は、団体・従業員のソーシャルメディア利用について、組織の方針や考え方、責任の所在を明らかにしており、これらのルールをまとめたものが、「ソーシャルメディアポリシー」あるいは「ソーシャルメディアガイドライン」と呼ばれています。
今回はこれらを “ソーシャルメディアポリシー”と称して解説します。
ソーシャルメディアポリシーは、学則や経営戦略などに則って策定されるものであり、組織ごとに異なります。大きく分けて2つのルールが存在します。
「公式アカウントに対するルール」と「教職員(従業員)や学生など個人に対する利用ルール」です。前者は、例えば団体のFacebook ページやTwitterの“公式アカウント”などを運用する際の決めごとを中心に記載します。後者は、前者の基本的な内容を踏まえたうえで、教職員(従業員)や学生がソーシャルメディアやブログを個人的利用(プライベートを含む)する際の決めごとを記載します。
以下、詳しく記載していきます。
◆公式アカウントに対するルール
ソーシャルメディアの公式活動において、組織として厳守すべき姿勢や、利用目的とメリットを明確にしたものをまとめたものです。「正確な発言に勤める」「公式アカウントの発言は組織を代表するものではない」「他人の権利を侵害しない」など、団体のリスクを回避するための記述がよく見られます。
◆個人利用に対するルール
組織に所属する個人がどのようにソーシャルメディアに接するべきか定めたルールです。
教職員(従業員)や学生の利用ルールについては、個人の自己表現を尊重しつつ、団体の一員であることを意識した利用を要求する文言が中心です。加えて、「インターネット上に発信した内容は削除できない」といったソーシャルメディアの特性を理解することも期待されています。
法人企業では、企業やブランドに対するユーザーの意見などについて、情報を収集することを社員へ推奨するケースも見られます。
ここ最近、若者がアルバイト先での悪ふざけした写真をソーシャルメディア上にアップし、話題となっています。事の発端は、ローソンの店員がアイスクリームのケース内で寝そべる写真がfacebook上に公開した事からはじまりました。
一連の騒動について、弁護士ドットコムトピックスでも取り上げられています。
参考:弁護士ドットコムトピック
こういった事象も軽減できるように、ソーシャルメディアの特性を啓発できるポリシー構成を考えていきたいですよね。
ソーシャルメディアポリシーを定ることで、組織側は「たとえ公式アカウントでの問題発言があっても、それは組織の公式見解ではない」という責任の所在を明らかにし、且つトラブルがあった場合には、その個人を行動規範に基づき処分することができるようにしています。
そして、そのソーシャルメディアポリシーを組織に所属する人が皆きちんと理解し遵守する事でソーシャルメディアを適切に使える能力の向上を狙っています。しかしながら、策定したからといってトラブルの軽減に直結することはなく、定期的な啓発や周知する機会を設けソーシャルメディアポリシーが形骸化しないように努める必要があります。
実際の記述内容については、「抽象的」な場合と「具体的」な 場合があります。対象となる個人の能力が高い場合は抽象的な文言で運用することが可能ですが、それが期待できない場合は、できるだけ具体的なルールを記述することをオススメします。
加えて、様々なソーシャルメディアポリシーを拝見すると、それぞれの団体の色が反映されている伝え方となっています。
中高の部門になりますが、日本大学第三中学校・高等学校は携帯電話利用やLINEなどのコミュニケーションも盛り込んだ内容を策定がし、“メディアポリシー“とよんでいます。
策定にあたり、同じような校風や専攻の学校などの記述の方法などをヒントに策定すると作りやすいと思います。
【参考までに】学校のソーシャルメディアポリシー
関西学院大学
常磐大学
敬和学園大学
聖心女子大学
日本大学第三中学校・高等学校
弊社でも策定支援をしておりますので、ご相談は随時受け付ておりますので、お気軽にお問い合わせ下さいませ。
【筆者プロフィール】
株式会社ガイアックス オンラインマーケティング部 河本 寛
「学校×ソーシャルメディア」をキーワードに教育機関へソーシャルメディア活用のコンサルティング及びリスク対策を提供、ネットリテラシー啓発活動を担当。全国で教職員・保護者・生徒向け研修の講師を年間40回以上実施。
事業概要:ソーシャルコミュニティサービスの企画・開発・運営及びソーシャルコミュニティを中心とする各種ASPの提供・コンサルティング
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