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eラーニングが今の社会と学習にマッチする理由
eラーニングによる学びが今後大きな潮流になるという予測ははっきりした理由があります。
それらの理由は
などが挙げられます。
教育の潮流を創り出すアメリカでも、学習仲間同士のコミュニケーション、コラボレーションそして情報共有が学習意欲の継続や学習の満足度に与える影響力を重視しています。教育のエキスパートはこのような教育のコンセプトをLearning2.0と名付けています。
Learning2.0の教育コンセプトの実践に必要なことは優れたICT環境の確保ですが、スマートフォンやソーシャルメディアの普及が理想的なICT環境を提供することが注目されています。
スマートフォン、ソーシャルメディアには生徒が容易に活用できるという利点があります。
最新のスマートフォンとソーシャルメディアのeラーニングでの活用法は、基礎知識の提供は当然として、仲間同士の会話や、エキスパートへの相談そして、デジタル化されたあらゆる関係情報(デジタルアーカイブ)へのアクセスによる情報共有や能動的情報取得などで、学んだ基礎知識を“できる”レベルに変換する能動的学習の場を提供することが可能です。
このように基礎知識の提供から構造化されていない非構造化情報が容易に得られる学習環境は“教える教育”から生徒中心の能動的学習(Student Centric)に進化させることができます。
さらにクラウドに組み込まれた自校でコンピュータシステムを所有しないeラーニングシステムなどの提供がはじまり、eラーニングを活用する専門学校の立場で見れば、eラーニングを活用するためにさほど技術力を要求しなくなってきていることも追い風になってきます。
またスマートフォンを活用した学びでは生徒の学習時間は、365日24時間あらゆる時間で学習しているという報告がなされるようになりました。
スマートフォンによるeラーニングの能動的学習への変革は、高等教育でも見られますが、社会人など学習目標の明確な成人が生徒となる場合に顕著になると予測されます。
その意味では専門学校でもダブルスクールの大学生や働きながら専門学校に通う生徒にはまさに最適な学習法であると云えます。
最近の新聞報道によればeラーニングによる大学がスマートフォンを前提にした学習システムの活用を発表していますが、この報道は大きな潮流の始まりに過ぎないと予測できます。
スマートフォンとソーシャルメディアを活用するeラーニングは教育現場に大きな変革をもたらすことはまず疑う余地はなく、しかも始まったばかりの変革です。
eラーニングに馴染みの薄かった専門学校でも、早く取り組むことによって先行する高等教育などに肩を並べるのはそう困難ではないと思っています。
*次回は、[eラーニングが可能にする学習マーケット拡大の可能性」についてお話します。
【筆者プロフィール】
特定非営利活動法人 日本イーラーニングコンソシアム 会長
NTTラーニングシステムズ株式会社 企画調査室長
小 松 秀 圀
電気工学科卒業後富士電機製造株式会社の教育担当を経て1965年より富士ゼロックス株式会社で企業内教育のプロフェッショナルとして20年の企業内教育実践経験を積んだ。1987年教育事業会社のNTTラーニングシステムズ株式会社の設立に参画、常務取締役としてメディア事業の開発で会社の基礎を構築した。現在熊本大学大学院 非常勤講師、教育システム情報学会 理事、特定非営利活動法人 日本イーラーニングコンソシアム 会長など、教育のシステム化ビジネスに永年携わると共にeラーニングや企業内教育関連の諸社会活動に参画し、二十数年アメリカの教育事情を調査するなど企業内教育を改善する社会的活動を行っている。