専門学校が通信制学科でeラーニングを活用する場合に役立つ情報をお届けしようと思います。
第1回はまずeラーニングの持つメリットをおはなしし、eラーニングの活用に興味を持って頂くことが重要であると思います。
eラーニングをうまく活用することの最大のメリットはキャンパスに通学する授業に比べて、学生が学習を進める上で不便な学習を制約する条件を大幅に緩和できることと、学生の能動的学習意欲を刺激し、みずから学ぶ教育環境を構築できることにあります。
さらにeラーニングでの授業設計とその運営に成熟したノウハウを蓄積できるようになると、キャンパスなどの設備効率が上がり、同じキャンパスで多数の学生の教育が可能になるなど、学校経営上合理的な経費節減が可能になります。
またひとりの教員が持つ教育内容を多くの学生が学べるように授業設計を行う事も可能であり、学校の持つ知的資産をより大きく活かすことができるようになります。
生徒の側から見ても、eラーニングで学習できるプログラムは何時でも、何処でも、誰とでも学ぶことができ、学生の都合を中心とした学習機会を得ることができ、学習継続の条件が大幅に緩和され、学習継続のストレスを少なくすることができます。いま話題のスマートフォンやソーシャルメディアの活用で、そのメリットと利便性は飛躍的に向上します。
勿論このようなeラーニングのメリットを実現するためには、生徒が学習意欲を持つことが必要になりますが、これからの専門学校には社会人学生が10%を超える趨勢にあったり、大学生が実務能力を得るためにダブルスクールで学習したりして学習意欲の高い学生の数は決してマイノリティーではなく、情報化社会の進展で専門分野の細分化と変化のスピードアップにより生涯教育の高い必要性を背景とした成長する学生層と云える存在になってきました。
eラーニングという新しい教授法を活用しない場合は、これらの新しい学生層に対し、特徴のある学習環境を提供することは困難ですが、いち早くeラーニングで新しい学習環境を提供した高等教育機関が大きな成長を果たした事例は海外には誕生してきています。
日本でも今、社会構造の変化に対応した新しい学びのスタイルが誕生しようとしています。
※次回は、「2, eラーニングとは何か、どう進化するのか」についてお届けします。
【筆者プロフィール】
特定非営利活動法人 日本イーラーニングコンソシアム 会長
NTTラーニングシステムズ株式会社 企画調査室長
小 松 秀 圀
電気工学科卒業後富士電機製造株式会社の教育担当を経て1965年より富士ゼロックス株式会社で企業内教育のプロフェッショナルとして20年の企業内教育実践経験を積んだ。1987年教育事業会社のNTTラーニングシステムズ株式会社の設立に参画、常務取締役としてメディア事業の開発で会社の基礎を構築した。現在熊本大学大学院 非常勤講師、教育システム情報学会 理事、特定非営利活動法人 日本イーラーニングコンソシアム 会長など、教育のシステム化ビジネスに永年携わると共にeラーニングや企業内教育関連の諸社会活動に参画し、二十数年アメリカの教育事情を調査するなど企業内教育を改善する社会的活動を行っている。