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前回、「内製化」は世の中の主流になっていることと、コンテンツを作るときに「何が目的で、何のために」を決めておくことが重要というお話をしました。
このことを、今回はいくつかの視点から考えてみましょう。
単に内製化することが経費の削減になるのは、企業で言えば、おそらく社員が数千人、売り上げが数千億円ある大企業だけです。
もちろん、これはしっかりとしたコンテンツを一から作って行くという観点から言うとですが、ほとんどの場合は内製化の方がコストがかかります。
何故か?
例えば、コンテンツを作る人を1人雇えば年間500万円近くの人件費がかかります。
がしかし、現況どこのコンテンツ制作会社に頼んでも500万円の予算を与えれば、短期間に相当素晴らしいものを作ってきます。試しにやってみてください!わたしの言葉が正しいことが分かると思います。
予算削減なら絶対に外注の方が得です。
例え腕のいいクリエーターを雇ったとしても、1年を通して仕事があるわけではなく、働いてない時間が無駄になります。派遣なんてもっての外。
では、なぜ高い費用を払って内製化するのか?
それは、最も大切な企業・学校が長年築き上げてきたノウハウを次世代に継承すること、そして教育研修を効率化し、スピーディーに新人君を一人前に育てる必要があるからです。
教育をコンテンツ化することによる利益は、ある意味途方もなく大きいものになる場合もありますが、そのコンテンツ自体の制作費用を抑えるために内製化するという考え方は間違っていると思います。
コンテンツの制作に入る前に、まずは どのような効果を目標にするか決め、それに向かってどのように進めて行くか指針を決めましょう。
行きあたりばったりにコンテンツを作って失敗した例は何度も見てきました。
また、それに関わる大まかなスケジュールや予算を決めることも重要です。
もし、皆で作るならばマインドマップや、ロジック・ツリーソフトを利用すると良いでしょう。例えば、(Why)結果-原因、(How)目的-手段(What)全体-部分などの推論を繰り返す場合、そのつながりをツリー状に図式化することで、その相互関係が明確になります。
また、これは経験値からですが、このようなツールを使うと意外と反対意見が無いようです。
図1:ロジックツリー
面白いので是非一度、試してみてください!
ちなみに、マインドマップのようなツールはお金を払わなくても無料版が多々ございます。
コンテンツの制作を一人で全て行うならまだしも、チームでやる場合は必ず各人の役割を決めましょう!
野球で言えば、誰が投手で誰が捕手か?誰が内野手で誰が外野手か?
一斉に同じポジションを守ると、野球なら負けます。
図2:野球チーム
その野球に例えると、
・監督=全体の企画構成・演出家。
・投手はシナリオライター。
・捕手はその仕事を誰に振りわけるのか決めるディレクター。
・内野手はデザイナー。
・外野手はプログラマー。
・コーチは作品をチェックするデバッカー でしょうか。
その他、どんな考えでも結構です。ライティングに少々自信がある人はシナリオライター、絵に自信がある人はデザイナーでOKです。
また、その役割を決めたら各人に任せましょう!それをコントロールするのは、ただ一人、先に出て来た監督(企画構成・演出家)のみです。
皆で作ったものに皆で意見を出し合う品評会みたいなことは、決してやってはいけませんよ。
コンテンツを作る素人が素人に意見しても、チーム内に軋轢が生じるだけで何のメリットにもなりません。
また、もし外部から助っ人を引っ張ってくるなら、デザイナーやプログラマーではなく、その監督さん一人を引っ張ってきてください。
そうすると、事が上手く運びますよ!
さて、この続きは次回へ!お楽しみに。
【筆者プロフィール】
株式会社WARK 代表取締役 長瀬 昭彦
eラーニングコンテンツ内製化支援のスペシャリストとして数多くのプロジェクトや研究グループに参画。自らもコンテンツの内製化セミナーの講師として全国に津々浦々の企業・学校等で指導を行っている。また、日本で唯一のeラーニングの業界団体である日本e-Learningコンソシアムの理事を務め、2012年に新しく設立されたモバイルラーニングコンソシアムの副代表理事も務める。さらに過去4年間、日本e-Learningコンソシアムの「コンテンツ内製化研究グループ」のリーダーとして多くの企業・学校の内製化支援・指導を行っている。
株式会社WARK(ワーク)事業概要:
eラーニング/モバイルラーニングのコンテンツ作成ツールの開発・販売。
コンテンツ内製化支援セミナーの開催。システム・コンテンツの受託開発。
eラーニングASPの開発・販売および運用支援。それらに関するコンサルティング業務。
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