LMSの選定について(2)LMSの機能
今回は、LMSの機能をご紹介します。LMSの基本的な機能である学習者の管理・進捗管理・教材コンテンツの管理以外に、最近ではさまざまな機能が付加されているLMSが多く出てきています。
受講者同士のコミュニケーション機能
掲示板機能程度でしたら以前からありましたが、SNSやブログ機能などを搭載するLMSが増えてきています。その理由として、SNS・ブログなどの利用の高まりとともにクローズアップされるようになった「インフォーマルラーニング」「ソーシャルラーニング」という教育手法があります。
通常の授業やeラーニング教材の受講などの体系立てられた教育カリキュラムに沿った学習のことを「フォーマルラーニング」というのに対し、「インフォーマルラーニング」は、「喫煙室での何気ない会話から良いビジネスアイデアがよく生まれる」ということがよく言われるように、フォーマルな学びの場以外で会話から学びや気づきを得たりすることを言います。「ソーシャルラーニング」は、インフォーマルラーニング的な学びをソーシャルメディアを利用して行うことを言います。
「フォーマルラーニング」が、学習提供者から与えられた学びであるのに対し、「インフォーマルラーニング」は、受講者の自発的な学習欲求が基になっています。そのため、「インフォーマルラーニング」の方が受講者の学習効率が良く、実際一般的な職場での学びの機会は「フォーマル」が20%であるのに対して「インフォーマル」は80%と言われています。このような背景もあり、eラーニングでも「インフォーマルラーニング」を実現するために、SNS機能が搭載されたLMSが多くなってきました。
利用方法としては、例えば教材コンテンツで知識を得たあとにその内容についてSNSでディスカッションしてもらう、などです。この機能自体は、どのLMSも似たようなものになっていると思いますが、ただディスカッションできる場が用意されているというものではなく、教材コンテンツ受講後スムーズにディスカッションができるような、受講生にとって使い勝手の良いシステムを選択すれば良いと思います。
eポートフォリオ機能
「eポートフォリオ」機能とは、受講者が目標を立て、日々の記録をつけ、結果を振り返り、次の行動につなげるというサイクルを繰り返しながら成長し、就業力を身につけることを支援する機能です。教員は具体的なスキルを設定し、関連した学習プログラム・活動の設計・実施を行い、受講者の活動を評価し、受講者の就業力アップを支援します。
文部科学省では、若者の「学校から社会(職業)への移行」や「社会的自立」が円滑に行われていない現実を踏まえ、幼児期から高等教育に至るまでの体系的なキャリア教育を推進し、さまざまな事業を行っていますが、そこでも多くのeポートフォリオを活用した教育事業が文科省支援事業として採択されています。
現状では、LMSの一機能というよりは、eポートフォリオシステムとLMSを連携させて運用している学校が多いようです。ただ、学習に密接に関連した機能ですので、今後LMSの機能として搭載される例が多くなってくると思われます。1つのシステムで学習から就業をフォローできるとなると機能的にもコスト的にも効率が良いので、eポートフォリオ機能が搭載されているLMSという基準で選択されるのも良いかもしれません。
ここでは最近注目されるようになった、学校でも使えそうな2つの機能を挙げてみましたが、それぞれのLMS独自の機能などもありますので、いろいろなLMSを比較して、御校の方針に近いLMSを検討されると良いと思います。
次回は教材コンテンツの作成、選定に当たり、注意すべきポイントをご紹介します。