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文部科学省「専修学校教育の振興方策等に関する調査研究報告」(2011年)に、専修学校における通信制学科の制度設計試案が書かれています。そこでは、通信制学科における学修は、従来の印刷教材・面接授業に加えて、メディアを利用して行う授業の学修を行わせることができると書かれています。現状は試案ですが、近い将来メディアを利用して行う授業つまりeラーニングによる授業の履修でも学生は単位を取得できるようになるということです。
この少子化の時代、より多くの学生を獲得するための一つの手段としてeラーニング導入をお考えの専門学校様も多いと思います。私の所属する株式会社プロシーズでも今までに多くの教育機関のeラーニング導入のお手伝いをしてまいりましたが、その中の1つである某大学通信教育部(お客様のご意向により、お名前は公表できません。ご了承ください。)の事例をご紹介しながら、eラーニング導入の効果や注意すべきポイントなどをご紹介したいと思います。
まず、その某大学通信教育部様ですが、通信制大学でありながらいち早くeラーニング授業の履修による単位取得を認めています。授業形態は、通常の通信教育に加え、面接授業とeラーニングです。学生は基本的には通信授業を選択しますが、必要取得単位のうち、面接授業で取得しなければならない単位数が決まっており、さらにそのうちのいくつかの単位はeラーニングを選択しても良いという制度になっています。ということで、eラーニング授業の選択は必須ではありません。
eラーニング授業は、オンデマンド講座の視聴、章ごとのテストやレポート、学生が教員に質問し、教員がそれに答えるコミュニティ、修了試験で構成されており、定められた期間内に修了試験までクリアすれば単位取得となります。オンデマンド講座は、期間内であればいつでも視聴可能で、動画を中心とした凝った作りのコンテンツになっています。これらはすべてインターネット上で完結することができます。
通信教育部の全学生数は約7,000人ですが、そのうちeラーニング選択者は2,000人を超えています。eラーニングの選択は必須ではありませんが、選択者数は毎年増加傾向にあるということです。
大学では、期ごとに学生に満足度調査を行っています。以下は昨年度の結果です。
・eラーニング授業は、総合的に満足しましたか?
満足:45.9%
まあ満足:40.1%
どちらともいえない:9.2%
やや不満:3.2%
不満:1.5%
→「満足」「まあ満足」で86%
・今後もeラーニング授業を受講したいですか?
受講したい:76.3%
まあ受講したい:15.5%
どちらともいえない:6.2%
あまり受講したくない:1.1%
受講したくない:0.9%
→「受講したい」「まあ受講したい」で91.7%
・eラーニング授業を他の学生に紹介したいですか?
紹介したい:56.2%
まあ紹介したい:23.5%
どちらともいえない:18.8%
あまり紹介したくない:0.8%
紹介したくない:0.7%
→「紹介したい」「まあ紹介したい」で79.6%
このように、非常に満足度が高くなっています。面接授業でも「総合的に満足しましたか?」というアンケートを取っていますが、その結果は、
満足:53.6%
まあ満足:31.3%
どちらともいえない:11.3%
やや不満:2.9%
不満:1.0%
となっています。「満足」「まあ満足」で約85%と、eラーニングとさほど変わらない数字です。
これほど高い満足度が出ているのはなぜなのか、学生が満足・不満を感じるポイントはどこなのか、どのような教材を作れば良いのか、どのように運営していけば成功/失敗するのか、などeラーニングを運営するに当たってのポイントは数多くあります。それをこのコラムを通じてお伝えできればと思っております。みなさまの学校で今後eラーニング導入をお考えであれば、その一助となれば幸いです。
それでは次回は、eラーニング導入のメリットをお伝えしたいと思います。
【筆者プロフィール】
西川修平 ◆ eラーニングサービス全般を提供する株式会社プロシーズ所属。当初は個人向けeラーニングサービスのみを提供していたプロシーズの会社設立に参画。以来、個人向けだけでなく、さまざまな業種の企業、学校・官公庁のeラーニング教材開発・システム導入に携わる。