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エジプト考古学者として著名な吉村作治氏。実は、eラーニングに関して以前より深く係わりを持っていらっしゃいます。その吉村作治氏による「eラーニングの効用」と題したコラムをお届けいたします。
eラーニングとはインターネットを利用して授業を行うことだということはだいぶ日本でも理解されてきました。しかし、「教育は対面でないと効果が出ない」とか、「メディアを通しての教育は間接的な雰囲気が強く、受講する側に実感がわかない」とか、「身代わり受講による教育のゆがみを増長させる」など反eラーニング派の意見が強いのは確かです。
しかし、米国をはじめヨーロッパ圏、さらにアジアでは韓国をはじめ、インド、中国と、人口が多く教育機会が少ない国ほどeラーニングは盛んです。中国もインドもすでに毎年百万人近い人がeラーニングで大学を卒業していると言われています。
もちろん、eラーニング先進国の米国やヨーロッパ圏、インド、中国のように国土が広く、あまねく高等教育を行き渡らせることが難しい国とは異なり、日本のように広さも限られていて、交通網が発達している国では、対面授業に力を入れるべきだという考えも一理あります。
しかし、現在の日本の教育、小学校から中学、高校、専門学校、大学と見てみますと、対面授業の効用を高く評価している評論家や教育者が主張しているように、対面授業が教育効果を上げていると言えるでしょうか。卒業後に必需な技術や知識、経験を重視している専修学校や専門学校の場合は若干効果が高いと思いますが、それも実技とか実習といった、直接教員から技を伝授しなければならないものを除いて、例えば講義科目や語学研修などでは、必ずしも対面による教育が良い効果を表していないと思われます。
例えば、対面授業において質問は出るでしょうか。私と私の友人の教員の例ですと、まず質問が出ることはないと断言できます。しかし、eラーニングでは質問や感想・意見などが掲示板に出ます。同じ教員でそうですから、教員の質の問題ではなく、受講生の思考の問題です。思考というより指向とか志向と言った方が適切かもしれません。
【筆者プロフィール】
早稲田大学名誉教授・エジプト考古学者 吉村作治
早稲田大学教員在職中よりe-ラーニングの可能性に着目しており、早稲田大学人間科学部においてe-ラーニング教育のさきがけとなるシステムの構築(e-スクール創設)に携わる。また、2007年に開学した日本初の完全インターネット大学『サイバー大学』の創立者として、初代学長を務める。学長退職後もそれまでに培ったe-ラーニングの手法の中でも特にe-コンテンツ制作に注目して、より良い教育コンテンツの制作に力を注いでいる。著書多数。
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